アトランティスの魔導師〈0〉 プロローグ ♯1
はい♡ いきなりオリジナルラノベの連載開始です♪
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アトランティスの魔導士〈0〉
~はじまりのはじまり~
〈プロローグ〉
はじまりのはじまり
その店舗(みせ)は別段、今日がお決まりの『定休日』、というわけではありはしなかった。
が。
にも関わらず。
ぴしゃり…!
シャッターは、下ろされたままだった。
そうだ。
午前中よりか、もう、ずっとのことだ。
そもそもが日頃におき、そうは頻繁にあるものでないはず貴重な客足を、頑(かたく)なに拒んでばかりでいる。
しかもそこはある種、特異とも言いうる業態だとかしておきながら。
それだから、店にとりまさに書き入れ時だろうこの午後の三時(おやつどき)をとっくに過ぎていようとも、いまだぴくりとも動き出す気配がない。
もはや単なる手違いや、ましてや一時の気の迷いなどではまったくのなしにである。
いいや、むしろそうこれはわざとなのか?
およそ弁解の余地の一つすらない、それは完全なる〝故意〟においてだ。
さては相当、店番は性質(タチ)が悪いのやら…!
ともあれで、こちらとかく振る舞い身勝手な売り手側、ときたらば。
シィーン…!
色あせ錆びかけたシャッターが一枚きりで隔てられた店内は、何やらどんよりと薄暗く、その中に今やただ独り――。
バチ当たりな不届き者がつんと可愛げのないむくれっ面して、それはいかにも不機嫌に居直っていた。
そこはたたでさえが手狭なものにも、見回す限りをそこかしこでだ。
細々した商品(うりもの)がごちゃまぜに並ぶ売り場の三和土(たたき)から一段、もとい、二段ばかし高い奥の居間へと上がる敷居にちょこんと腰掛け、裸足の両足をぶらんと宙に放り投げる。
こんな身ぶりそぶりがいささか大人げないのは、やはりその人影(シルエット)がまだお子様のそれだからで。
ぷうっとへそを曲げた面立ちは、しごく幼いものに相違もなかった。
見るからには、初等教育もまだこの半ば、ぐらいなものだろう。
そんな見てくれいかにも華奢で小柄な少年は、いつまでぶすりと沈黙したきりだったが、やがて不意に単発、くしゃみを飛ばしたりする。
それからかすかに肩を震わせたりもした。
その背後、狭い部屋の隅っこには音を消したままで終始点けっぱなしの、この屋内じゃ今や唯一の光源たりうる、くたびれた小型テレビの画面がせわしく明滅(フラッシュ)するのみ。
かくて日中でも外部からの日の光をまるで取り入れぬ閉め切った続き間は、ただいまの季節柄にはもうだいぶ冷え込んでいてこそだ。
だがしかるにこれが。
件(くだん)の男児ときたものにはだ。
そう。
いまだ素足に肢体半袖(したいはんそで)の、それこそが夏場さながらのスタイルなのであって…!
「くしゅんっ、しゅんっ! ううっ…ちぇっ、やってらんないやい、こんなショボイみせのばんなんてさっ!」
くしゃみ連発!
またそんな涼しさに身を縮こめながらでも誰にともなく憎まれ口叩けば、まだやせ我慢して背後のひやりとした畳に大の字に寝っ転がったりする。
当てどなくぶらつかせていた両足を己の体温で温(ぬく)い敷居にまで引っ込め、立てた膝っ小僧とその先の天井をぼんやりとだけ眺めた。
そうしてもはや、それっきり――。
浮かぬ顔でふて寝するかの幼い店番なものながら、しかしまたどうしたことやらでだ。
それからややもせぬ内、また出し抜けむっくりと身を起こす。
薄暗がりの中ただちにじっと小さな耳を澄まし、一度はつむった目を二つとも皿にして前方(まえ)へと向かった。
ただひたすら、自らの意識を閉じたままのシャッターの、そのまた先へと集中する。
「…っ! 帰ってきたっ!!」
つい、ほんの今し方のこと。
にわかに外部(そと)に生じてきたある一つの気配をだ。
どうやら自分なりの判断基準におき、今までにはなかったある特定のそれだと嗅ぎ分 けたものらしい。
そうして途端、それこそだんっと弾かれたよう敷居から小さな尻を弾ませれば、愛用のゴム底サンダルつま先に突っかけ、ドダダダっ! と一目散してそちらへ突っ走る!
それがいきなり蹴つまずいたかにペタリと腰を落としたのは、行く手を阻む冷たい鉛色(なまりいろ)したカーテンに鼻っ面ぶつける寸前だ。
そうかと見ればその頑なに封印していたはずその一間幅(いっけんはば)のシャッター、何ら迷うこともなし両手で掴むや否(いな)やに頭上まで一気にジャラララーッとばかし、持ち上げるのだった。
で。
またその途端――。
※次回に続く…!
こちらと提携ができないのでコピペで掲載!
ちなみ、ピクシブでは縦書きです♡